24. 地磁気観測所では何をしているの?

地磁気を常時、できるだけ正確に測定して記録するのが地磁気観測所の役割です。地磁気は強さと向きを持った3次元の量ですが、その3成分を正確に自動測定できる磁力計は存在しません。通常、地磁気観測所では、地磁気の強さを測定するプロトン磁力計*と、地磁気の3成分の時間変化のみを測定する地磁気変化計とよばれる装置が稼働しています。この2種類の磁力計は自動計測・記録がされています。

3成分の値を正確に測定するためには、磁気儀と呼ばれる装置を用いて手動によって地磁気の方向を正確に測定した値と、プロトン磁力計による地磁気の強さの値を組み合わせるのが、現状では唯一の方法です。地磁気観測所では、観測員が手動による測定を最低1週間に1度は行い、それ以外の時間の時間変化は変化計の値で追跡するという方法を採用しています。これによって、柿岡の地磁気観測所では毎秒1回、3成分の値を1nTの正確さで、また時間変化は0.1nTの分解能で記録しています。

三宅島に設置されたプロトン磁力計(白い三脚)。後方に噴煙を上げる雄山が見える。

このように地磁気の観測データを記録として残すというのが地磁気観測所の最も大切な機能ですが、それ以外に、宇宙天気予報の基礎データとして利用されたり、地震や火山の活動の監視のための基準データとして用いられる等、さまざまな分野で役立てられています。

*プロトン磁力計:水素の原子核(プロトン)の磁気的性質を利用して磁場の強さを正確に測定する装置。