3. なぜアルミや銅は磁石にくっつかないの?

磁性のもとを探ると、原子の構造にたどり着きます。ひとことで、原子核の周りのうち、最も外側の軌道を回る電子の性質によっているといえます。例えば、最も単純な水素の原子について見れば、原子核の周りを回る電子の数は1つだけで、それが最も外側の軌道にある電子です。この電子の回転は円状の電流と同じですから、周辺には棒磁石の周りと同じ形の磁場ができています。これを原子の磁気モーメントと呼びます。

ほとんどの原子が単体では磁気モーメントを持ちますが、孤立した原子は不安定なため、分子になったり、結晶になったり、結合して金属になったりします。この時アルミや銅をはじめほとんどの物質の場合、外側の電子どうしが同じ軌道を反対に回る組み合わせになり、結果的に磁気モーメントを失います。ところが、鉄族の金属(鉄やニッケルなど)の原子では、ちょっと様子が違います。最も外側の一つ内側に特殊な電子の軌道があって、化合物や結晶の中でもこの電子が一方の方向に回っていて、磁気モーメントを失うことがありません。

磁気モーメントをもつ原子が集まった物質は、小さな棒磁石の固まりみたいなものですから、磁石にくっつくということになります。ちょっと難しかったですね。