39. 溶岩の近くでは磁場が乱れているって本当?

溶岩には、磁気をもった鉱物(磁性鉱物と呼びます)が含まれています。磁気の強さは、岩石全体に含まれる磁性鉱物の割合や、含まれる磁性鉱物の種類によって異なります。中でも玄武岩と呼ばれる溶岩は、強い磁気を帯びていることがよく知られています。ハワイや伊豆大島の三原山などは、玄武岩溶岩を噴出する火山です。富士山からも、青木ヶ原溶岩のように非常に磁性の強い溶岩が噴出されたことがわかっています。

溶岩は、いわば不規則な形をした永久磁石であると言えます。したがって、溶岩の周囲では複雑な形をした磁場がつくられています。これが地磁気に比べて無視できるくらい弱ければ、地磁気の乱れはなく、磁気コンパスは北の方向を指します。しかし、溶岩の磁気が強い場合、その影響で磁気コンパスの指す方向は場所によって大きく乱れることになります。20で述べた地磁気異常です。

富士山は日本を代表する火山です。貞観時代(西暦864年)には北麓に青木ヶ原溶岩を噴出しました。現在、一帯は樹海になっていますが、溶岩の強い磁気の影響でコンパスが狂うことがありますので、注意が必要とされます。