46. 太陽風は人工衛星や探査機でどのくらい観測されているの?

地球や惑星・彗星を調べるために、これまでたくさんの人工衛星や探査機が打ち上げられてきました。これらの探査機により、太陽風の観測範囲は、近くは水星軌道の内側から、遠くは海王星の外側まで広がっています。

ところが、探査機では観測が難しい場所があります。その 1 つは太陽のごく近く。探査機が太陽に近づいていくと、その膨大なエネルギーのために壊れてしまうからです。そして2 つめは、惑星の公転面から高く離れた、緯度の高い領域です。探査機は、地球の自転と公転運動の勢いを利用して打ち上げますので、地球の公転面から大きく抜け出すのは難しいのです。

唯一、高緯度の太陽風を観測したのは、ヨーロッパの国々とアメリカが協力して打ち上げた、ユリシーズという探査機です。ユリシーズは、木星の重力を利用して黄道面から脱出し、太陽のまわりを 5 年かけて極軌道を1 周しました。この観測により、高緯度の太陽風が初めて直接観測されたのです。でも、全体像を調べるには、1 機だけの観測ではまだまだ不十分です。なぜなら、探査機が 1 周する間に、太陽風も姿を変えてしまうからです。太陽風の全体像を調べるには、太陽のまわりを多くの探査機でとりまいて観測するか、まったく別の方法を考える必要があります。