47. 太陽の近くを観測する工夫は?

太陽風はどうしてそんなに速いのか・・・これは、まだ解決されていない難問です。この問題を解明するためには、太陽風が実際に加速されている所に行って、観測をするのが一番でしょう。しかし、太陽風が加速している場所は、太陽からほんの数百万 km(太陽の半径の数倍)しか離れていません。探査機が近づくため には、太陽からの強力な光のエネルギーに耐える必要があります。

皆さんは、日差しが強いときどうしますか? 帽子をかぶる、日焼け止めクリームを塗る、木陰で休む、日傘をさすなど、いろいろな方法が思い浮かびますね。「探査機が日傘をさせばいいんじゃないかな?」と、NASA の科学者達も同じようなことを考えました。この日傘をさした探査機はパーカーソーラープローブと名付けられ、2018年に打ち上げが予定されています。このパーカーという言葉、見覚えはありませんか?32で登場した、太陽風の理論的予言者、パーカー博士にちなんで名付けられているのです。2024年には、太陽表面から600万キロ上空(太陽半径の8倍) まで接近し、楕円(だえん)軌道にのって何度も太陽に接近して観測を行ないます。太陽半径の8倍といえば、太陽風がまさに加速している領域。パーカー博士の予言から60年、未だ謎の多いコロナ加熱や太陽風加速のメカニズムについて、重要な手がかりが得られるでしょう。