19.冥王星は惑星なの?

2006年8月、冥王星の扱いをめぐって大騒動が起こりましたね。それまでは、どのような天体を「惑星」と呼ぶかははっきりと決められていませんでしたが、国際天文学連合(IAU)が惑星の定義を決定したことにより、冥王星は惑星とは別の種類の天体である「準惑星」の仲間に入ることになったのです。

冥王星はもともと、他の惑星と比べて特異な存在でした。軌道は他の惑星と異なり、やや長細い楕円軌道で、黄道面から17度も傾いています。その特異な軌道のために、冥王星は海王星よりも太陽に近づくときもあります。大きさも小さく、表にあるように、太陽系最小の惑星である水星の半分ほどしかなく、ガニメデを始めとしたいくつかの衛星よりも小さいのです。

冥王星をめぐる騒動の始まりは、近年の自然科学の進歩や、観測技術の大幅な向上によってもたらされたものです。1992年に、海王星より遠くで冥王星以外の天体が初めて発見され、その後1000個以上の太陽系外縁天体(TNOS)が次々と発見されました。その中には、冥王星ほどの大きさをもつものも多数あったので、冥王星だけを特別扱いするわけにはいかなくなってしまったのです。

冥王星は、「自身の公転軌道の周辺から、他の天体を排除しきれていない」という点でも、水星などの他の惑星と違っています。この違いは、天体の形成過程の差を反映している可能性もあり、冥王星が所属する「準惑星」と「惑星」とを区別する基準としても用いられています。

さまざまな天体の直径
地球の衛星3476 km
木星の衛星イオ
エウロパ
ガニメデ
カリスト
3630 km
3138 km
5262 km
4800 km
土星の衛星タイタン5150 km
海王星の衛星トリトン2720 km
冥王星周りの小天体カロン1270 km
冥王星2302 km
水星4878 km