22.いん石はどこからやってくるの?

いん石の大部分は、火星と木星の軌道の間の小惑星帯からやってくると考えられています。小惑星どうしが衝突してできた破片の一部が軌道を変え、その軌道がたまたま地球の軌道と交わり、地球に衝突すると考えられています。地球の大気に突入するものは、ほとんどが数ミリグラム程度と小さく大気中で燃え尽きてしまうのですが、とくに大きいものは地上に到達し、いん石となります。

約6500万年前、メキシコのユカタン半島に直径10キロメートルほどの巨大ないん石が衝突しました。衝突の衝撃で大量の砂やほこりが舞い上がり、太陽の光が遮られて気候変動が起こり、植物が枯れ、まず草食恐竜が、次いで食物連鎖のために肉食恐竜が絶滅しました。・・・このストーリーは、恐竜の絶滅を説明する有力な説と考えられています。幸いこのような巨大ないん石の衝突は非常にまれで、1億年に1回程度しか起こらないのですが、全地球的な被害をもたらし得ますので人類にとっても大きな脅威です。

いん石の中には、月から来たことが確かなものも発見されています。また、「SNCいん石*」と呼ばれるいん石群は火星から来たのではないかと、多くの科学者が信じています。

火星からやってきたと考えられているいん石。
顕微鏡写真では、バクテリアの化石かもしれない物体が見られます。

*SNC いん石とは、ジャーゴッティーいん石(Shergotty)、ナクラいん石(Nakhla)、シャシニーいん石(Chassigny)の3つのいん石の頭文字をとって付けられた分類グループ名です。それぞれ、発見された場所(インドShergahti, エジフトEl-Nakhla, フランスChassigny)から名付けられました。火星から来たと考えられるいん石の大部分は、SNCいん石に属しています。写真のALH84001はSNCいん石に分類されませんが、火星に生命がいるのではないかという騒ぎのもとになりました。