2.惑星は「惑う星」?

惑星は英語で言うとプラネット(planet)です。このプラネットという言葉の響きに対して、なんとなく美しいイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。しかしこのプラネットということばの語源は、ギリジャ語の「さまよう人」、「放浪者」(planetai)で、あまり綺麗なものではありません。

夜空に輝く恒星たちは、互いの位置関係をほとんど変えることなく天空を回っていますね。ずっと遠くにあるからです。ところが、惑星は恒星たちの動きから外れ、フラフラと「惑い」、移動していきます。火星や木星は地球上から見ると逆行さえします。惑星が地球と同じように太陽のまわりを公転していることによるのですが、その姿が夜空をさまよっているように見えたのでしょう。

プラネットという言葉は、日本には江戸時代に入ってきました。その時に日本語での呼び名「惑星」ができたのですが、惑星には他にもいくつかの呼び名があり、「遊星」や「行星」とも呼ばれていました。三者は入り乱れて用いられていましたが、明治末期から大正時代にかけては「遊星」がよく使われ、第2次大戦の後からは「惑星」の方が多く使われていたようです。どうやら惑星は、日本での呼び名でもフラフラとさまよっていたようですね。