31.金星にもオーロラはあるの?

夜空一面に光の束が広がり、光のカーテンがうねり波立つ。地球の高緯度地方でしばしば見られるオーロラ現象は、金星の上空では見ることが出来ないと考えられていました。それは金星が磁場をほとんどもたないからで、オーロラ現象が発生するためには惑星が大気と磁場の両方をもつことが必要だからです。

しかし、1978年から14年間にわたって行われたアメリカのパイオニア・ビーナス衛星の観測によって、金星の夜側にも紫外域の発光が微弱ながらときおり見られることが報告されました。この発光現象が生じるメカニズムはまだよくわかっていませんが、この現象をオーロラと呼ぶ科学者もいます。

金星のオーロラの解明には、今後の探査機による十分な調査が必要です。金星では、プラズマ粒子が上空大気に降り込む経路が磁場をもつ惑星と異なりますので、地球のオーロラに見られるような光のカーテンのうねりは期待できないかもしれません。また、金星の発光現象は、他の惑星のように固定された地域(固定された地磁気緯度帯)でしか見られないというものでは無い、という違いも考えられます。