11. 宇宙線はどうやって見つかったの?

宇宙からの放射線である宇宙線は、いつ、どうやって見つかったのでしょう?

1911年頃、オーストリアのヘスは箔検電器を中和させる“目に見えないもの”は、岩石からの放射線ではないかと考えました。そこでヘスは、パリのエッフェル塔の上に検出器を持っていきました。エッフェル塔の上までいけば、岩石からの放射能は空気で吸収され減少すると考えたからです。なぜならヘスは、当時最強の放射能であったラジウム1.5gを使い、放射能が空気中でどの位減るのかを調べて知っていたからです。しかし、結果はどうだったでしょう。強度は全然弱まりませんでした。そこで次に、4000m級の高山に行ったり気球に乗って調べました。さらに放射線の強度は強まったのです。これらの実験結果から、岩石からの放射線説が否定されました。つまり、上空へ行くほど強度が強くなったからです。

こうして、この放射線は地球の外側、つまり宇宙からやってきていることがわかり、宇宙線と命名されました。今日では、ウラン鉱石など岩石からの自然放射能と区別して、宇宙放射線と呼ぶ人もいますが、ここでは宇宙線と呼ぶことにします。ヘスはこうした功績により、ノーベル賞を受賞しました。1936年のことです。