42. 不思議な宇宙線?―反粒子宇宙線

もう一つの不思議な宇宙線は、反粒子宇宙線と呼ばれているものです。私達の宇宙は、ビッグバンで始まった頃、物質と反物質が同じだけ作られたと考えられます。反物質というものは物質と全く同じ性質を持ちますが、電荷が反対のものです。例えば反水素原子は負の電荷をもった陽子と、正の電荷をもった陽電子で構成されているということです。

もちろん私達の世界にある水素、例えば水(H2O)の中にある水素は、正の電荷をもった陽子と負の電荷をもった電子から構成されています。もし負の電荷をもった反ヘリウムの原子核が発見されれば、これは反物質でできた世界がどこかにあるはずだということになります。しかし、反物質でできた宇宙の痕跡である反ヘリウムはまだ見つかっていません。反物質でできた銀河は存在しないという考え方が有力です。