22. 1006年の超新星残骸からのガンマ線は何を意味しているの?

明月記によると、1006年にも星が爆発して、超新星(SN1006)として輝きました。当時は、南の水平線ぎりぎりに見えたのだと思います。実は、この時の爆発により生じたガスが、1000年を過ぎた今でも宇宙空間に存在しています。

この残骸物の方向に、日本のX線望遠鏡「あすか」を向けたところ、ハの字型に短い波長のX線を出している部分があることが見つかりました(写真)。中心には何も残っていません。高エネルギー電子は磁場で曲げられた時、波長の短いX線を出します。従ってX線がやってきているということは、このハの字の部分には高エネルギー電子があることを意味しています。

さらにこの天体(SN1006)を日豪共同研究で作られたガンマ線望遠鏡で調べたところ、そこから非常に高いエネルギーのガンマ線がやってきていることもわかりました。この観測結果は、超新星が出現した場所が、宇宙線のふるさとであるということを、ますます明瞭に私達に知らせてくれていると思います。

「あすか」に搭載されたX線望遠鏡で見た、超新星残骸SN1006の姿。