26. 宇宙線は世界のどこでも一定なの?

宇宙線は地球の磁場の影響も受けます。また宇宙線は一般に地球磁場の影響で、赤道上空へは進入しにくく、極地方へは進入しやすい特徴があります。これは太陽フレアの時、赤道付近では太陽宇宙線は20%しか増えないのに、南北両極地方で2倍も増えることからわかります。

その理由は、南北両極地方では磁力線の方向が垂直に近いため、宇宙線が磁力線につかまって侵入しやすいからです。また、宇宙線は正の電荷をもった陽子が主成分です。そのため、東側より西側から進入しやすいことが知られています。これを宇宙線の東西効果といいます。

それでは、もう少し詳細に東西効果を説明しましょう。皆さんは理科の時間にフレミングの左手の法則を習ったと思いますが、それを思い出して下さい。左手の中指を電流の方向(Ⅰ)に、人差し指の方向を磁場の方向(B)にとると、この電流に働く方向(F)は、親指の方向になるという法則です。宇宙線は正電荷ですので、宇宙線の進行方向が電流方向となります。すると、西側から入ってくる宇宙線には地球に対して外向きの力が働き、東側から入ってくる宇宙線には内向きの力が働きます。話しをわかりやすくするために、次のように考えましょう。正の電荷を持った宇宙線(陽子)が地球に入ってくることは、負の電荷を持った宇宙線(反陽子)を地球から発射するのと同じなのです。地球上から西方向に反陽子を発射した場合と、東側に発射した場合を比較します。するとどうでしょう。西側に発射された反陽子は地球の外へ出て行くのに対して、東側に発射した宇宙線は、地球上に落下してしまいます。すなわち、東側には宇宙線が入れない死角があるということです。このため、西からやってくる宇宙線の数の方が、東側に比べると多いのです。実は、宇宙線は正の電荷を有した粒子であるということは、この東西効果を利用してわかったのです。