20. 銀河宇宙線はどこからやってくるの?

それでは、太陽系外で宇宙線はどうやって作られているのでしょうか?

星は燃焼のためのエネルギーを費やした最後に大爆発を起こし、その一生を終了します。その時、星は明るく天空に輝きます。これが超新星です。

最近では、1987年にマゼラン雲に出現した超新星が有名ですね(写真参照)。それは383年ぶりの、肉眼で見える超新星でした。ケプラーが超新星を観測して以来のできごとです。

鎌倉時代初期に藤原定家が書いた日記「明月記」の中に、1054年にも客星(超新星)が天空に現われたと書かれています。古文書に残されるほど、明るく輝く新星が夜空に現われたようです。現在この天体を光学望遠鏡で見てみますと、爆発に伴って作られたガスが、蟹の形に明るく輝いて見えるので、カニ星雲と名前が付いています。この天体は、蟹座ではなく、牡牛座にあります。米国ホイップル天文台のウイークス氏らは、高エネルギーガンマ線を検出できるように工夫した、チェレンコフガンマ線望遠鏡をカニ星雲に向けたところ、1兆電子ボルトの高エネルギーガンマ線が到来していることを発見しました。カニ星雲の中心部には、中性子でできたパルサーと呼ばれる星が毎秒33回、回転しています。

パルサーは磁化されています。巨大な棒磁石が高速回転していると思って下さい。これは発電所で電気を起こすのと同じ原理で、磁石が回転すると電場が作られます。この電場の中で、電子が高いエネルギーを得ているわけです。このように、太陽系外からの宇宙線は、超新星爆発の後に残された所がふるさとであると考えられます。

大マゼラン雲(南天)に1987年2月23日突然出現した超新星1987A。