23. 宇宙線はどうやって加速されるの?

このように、超新星残骸から高いエネルギーのガンマ線がやってきていることにより、宇宙線がどうやって高いエネルギーを得ているかが想像できるでしょう。陽子やヘリウムの原子核が、どこで、どのようにして高いエネルギーを得ているのかを説明する、最も有力な説をここで紹介しましょう。

超新星SN1006の観測結果からもわかるように、その星の周辺には、約1000年前の爆発のとき吹き飛ばされたガスの固まりが今でも存在しています。このガスの固まりは、秒速2900km位で爆発の中心から遠ざかっていきます。このガスの固まりと陽子は、何度も何度も衝突を繰り返すことより、次第にガスの運動エネルギーをもらって、粒子自身が高いエネルギーをもつようになっていると考えられます。

このように、粒子が次第にエネルギーを得てゆく過程を“加速される”といいます。粒子が周辺のガスから十分なエネルギーを得るまでには、1000年の歳月がかかると言われています。ガスの固まりは衝撃波とかショックと呼ばれるので、粒子がエネルギーを次第に得てゆく過程を説明するこの考え方を、ショック加速の理論と呼んでいます。