30. GPSにはアインシュタインの相対性理論が使われている?
GPS では、自分の位置を計算するのに、人工衛星からの位置と時刻の情報を使っています。もし、衛星の時刻情報が 1 マイクロ秒(1 秒の 100 万分の 1)違うと、地上では 300 m もの誤差になるので、正確な情報が必要です。
問題は、人工衛星が地上ではなく、地球の周りを飛んでいるということ。アインシュタインの一般相対性理論によると、高さによって重力の強さが違うため、人工衛星と地上とでは時間の進み方が異なります。重力の違いによるこの時刻のずれは、1 日でおよそ 38 マイクロ秒くらい。これは、GPS の計算による位置にすると、1 km 以上違うことになります。こんなに違ってしまうと、正しい位置とはいえません。そこで GPS では、ごくわずかの時刻のずれもきちんと補正して、正しい位置を求めることができるようにしているのです。生活のなかに相対性理論が使われていると いうのは驚きですね。