37. どうして電離圏で電波は反射するの?
電離圏をつくっているプラズマは、プラスの電気を帯びたイオンとマイナスの電子とでできています。電離圏ではイオンと電子の数はほぼ同じ数だけ存在するため、電気的には中性(電気を帯びていない)です。電離圏の電子は、質量(重さ)がイオンの1000分の1以下と非常に軽く、自由に動くことができます。電子が自由に動くということは、電気が流れるということ。つまり、電離圏は、電気が流れやすい金属と同じ働きをするのです。その結果、金属で電波が反射するのと同じように、電離圏も電波を反射します。
ただし、どんな電波でも反射するというわけではありません。プラズマ中の電子の数(電子密度)によって、反射できる電波の周波数が決まっています。電子密度が低いと、周波数の低い電波しか反射できません。電子密度が高くなるにつれて、より高い周波数の電波まで反射できるようになります。具体的には、電子密度の低いD層では、長波といわれる低い周波数の電波を反射します。それに対して、電子密度が高いF層では、短波まで反射できるのです。