10.大気重力波ってなに?

数時間以下の比較的短い時間スケールの大気の振動を、大気重力波と呼びます。例えば入道雲がもくもくと登っていったり、山に対して風が吹き付けたりすると、その上空の大気は持ち上げられます。持ち上げられた大気は圧力が下がって膨張します。すると気温が下がるので、まわりの大気より重くなって落ちてきます。落ちてきた大気は、まわりの圧力が上がるために縮み、縮むことによって温度が上がってまわりより軽くなり、また上昇する、という振動を繰り返します。ちょうど水面の「浮き」のように、大気が上下に振動するのです。とても簡単に起きる振動なので発生しやすく、超高層大気には大気重力波が「充ち満ちている」と言えるでしょう。

振動を起こす力の中に地球の重力が含まれるので、「重力波」と呼ばれているのですが、宇宙論でブラックホールなどから伝わってくる「重力波」とは別のものです。