27.どうして電離圏ができるの?

電離圏を作る大きな原因は太陽の光。特に太陽からの紫外線はエネルギーが高いので、大気分子・原子のまわりをまわる電子をはじきとばして、電子とイオンに分けてしまうことができます。これを電離と言い、電子やイオンのことをプラズマと呼びます。地上でもこういったことは起きますが、大気の密度が非常に濃いので、電子とイオンに分かれた大気は、すぐに衝突して元の中性大気に戻ります(再結合と言います)。しかし大気のてっぺんの中間圏や熱圏では、大気の密度が薄くなっているので、衝突はそれほど頻繁には起こりません。プラスとマイナスに分かれた粒子は、そのままの形で長い時間、存在することができるのです。これが電離圏です。D 領域、E 領域、F 領域など、異なる高さに層を持つのは、それぞれに電離を起こす太陽紫外線の波長が少しずつ違うため。

 

電離圏の形成は、紫外線による電離と、衝突による再結合のどちらが勝つかによります。太陽の光が当たっている昼間では電子密度が高く、日が沈むと、時間がたつにつれて、再結合によってだんだん電子密度が下がってきます。また、再結合の過程は大気の温度や風の吹き方によっても変わります。このように、電離圏は一定に存在するのではなく、いつもダイナミックに変化しています。これから説明するように、プラズマの泡、かたまり、しましま、津波といった、さまざまな構造ができています。