19.大気のてっぺんはどんな色で光っているの?

18 に書きましたように、励起状態になった大気の分子・原子が元の状態に戻る時に光が出るわけですが、出てくる光の色(波長)は、励起状態と元の状態のエネルギーの差によって決まります。ちょっと難しいですが、原子や分子は量子力学によって、決まったいくつかのエネルギー状態しか持つことができません。オーロラや大気光の光は、太陽光のように七色のすべての色(連続光)ではなく、決まった色(発光輝線と呼びます)しかないのです。

代表的な色としては、酸素原子が出す緑の光(波長 557.7 nm) と赤い光(630.0 nm)があります。水酸(OH)分子は赤外域の広い波長範囲にわたって数多くの発光輝線を持っており、バンド発光と呼ばれています。ナトリウム原子は、D 線と呼ばれる黄色の光(トンネルによくあるナトリウム燈の光)が中間圏でごくわずかに光っています。オーロラではこれらの色の他に、窒素分子による青やピンクの発光が有名ですね。