4章: 電離圏

26.電離圏って何?

高さが 100 km 以上になると大気は非常に薄くなって、一部の大気は電気を帯びるようになります。この電気を帯びた大気は、高さ 60-1000 km 付近で地球をずっと取り巻いていて、電離圏(または電離層)と呼ばれています。電離圏は、いくつかの層状構造に分かれていて、代表的なものは、下から D 領域(60- 90 km 付近)、E 領域(90-130 km)、F 領域(130-1000 km)と呼ばれています。

最も電子密度が高い F 領域では、1 立方センチメートルあたり、昼間で 100 万個、夜でも 10 万個の電子(マイナス電気を帯びた粒子)とイオン(プラス電気を帯びた粒子)が存在します。電子の数がとても多いように思えますね。でも、同じ高さで電気を帯びていない(中性の)粒子の数は、その 1000 倍くらいあるのです。電離圏と言っても、そこでは大気の 1000 個に 1 個が電気を帯びているに過ぎません。しかしこの電気を帯びた粒子は、電波を反射したり大気光を光らせたりして、地上からも測ることができます。

地上で測られる磁場の変化が、上空に電流が流れていると考えるとうまく説明できることなどから、上空に電気を帯びた層があることは 19 世紀ころから想像されていました。20 世紀に入ると、地上から出した電波が上空ではね返ってくることや、ロケットや人工衛星による直接的な観測によって、大気のてっぺんには電離圏があり、それが時々刻々と変化している様子がわかってきました。