48.なぜ大気のてっぺんの高さが変わると人工衛星が壊れるの?

中間圏や熱圏の大気の密度は、太陽の紫外線や地磁気の変化によって大きく変わっています。地球を観測していた「ランドサット」や「みどり」などの科学衛星は、宇宙空間を飛翔しているといっても、実際には熱圏の中を通っています。つまり、熱圏大気が衛星にぶつかる抵抗を、ごくわずかなブレーキとして常に感じているのです。

熱圏の中を何年も人工衛星が飛んでいると、このブレーキの力によって衛星の高度は少しずつ下がっていきます。人工衛星の寿命を決める要素はいろいろありますが、大気抵抗の力による衛星高度の減少も、その要素の一つ。熱圏の大気は非常に薄いのですが、太陽でのフレア爆発や磁気嵐などで大気が加熱されて膨張すると、人工衛星の高さでの大気の密度が急激に上昇し、大気抵抗の力が人工衛星の姿勢を大きく変えてしまったり、衛星の寿命を縮めてしまうこともあるのです。