5.酸素が地球から逃げ出している?

地球から酸素原子が逃げ出していることが、人工衛星やレーダーによる、最近の超高層大気の観測からわかってきています。これは特に極地方の上空に見られ、酸素原子がイオン化*して逃げ出しているので、イオンアウトフローと呼ばれています。

その原因にはさまざまな説がありますが、オーロラにともなう電気的な力によるとする説が有力。宇宙からやってくる高エネルギーのプラズマ(電子やイオンといった電気を帯びた粒子)が極地方に飛びこみ、オーロラを起こしますが、それと共に超高層大気がエネルギーをもらい、その中の酸素原子の一部が電気を帯びて、上向きに加速されて逃げ出すというのです。でもこの「逃げ出し」現象の効率は一定ではなく、詳しい原因や実際どれだけ逃げ出しているのか、ということはまだよくわかっていません。

* イオン化とは、酸素原子が、持っている電子のうち1つを何らかの原因で失って、プラスの電気を帯びることです。イオン化した酸素原子は、電気的な力を受けるようになります。