32. 大昔の地磁気のことはどうやって知るの?

岩石や土の中には、鉄の酸化物が1~3%程度含まれており、これらは磁性鉱物と呼ばれています。磁性鉱物を加熱して温度を上げていくと、その鉱物に固有の温度(キュリー点)に達したとき、持っていた磁性が失われます。代表的な磁性鉱物である磁鉄鉱のキュリー点は、およそ600℃くらいです。逆に、高温の状態から冷えて温度が下がってくると、キュリー点より下がった時から再び磁化を獲得します。キュリー点の発見者は、キュリー夫人の夫のピエール・キュリーです。

地球には常に地球磁場(地磁気)がかかっているので、冷却によって磁性鉱物は地磁気の方向に磁化されます。このような磁性鉱物を含む岩石(火山岩)の磁気は、獲得した時の地磁気の情報をずっと記録しているわけです。この性質を利用して、岩石の磁気測定と生成した年代の測定を組み合わせることによって、地質時代をさかのぼって大昔の地磁気のことを推定することができます。このような研究をする学問分野を、古地磁気学と呼びます。海底に堆積物がゆっくりと堆積する時、砂鉄は地球磁場の影響を受けるので、昔の地球磁場は海底の堆積物(泥)にも記録されます。また、人類が焼き物を作るようになってからの時代の地磁気の様子は、遺跡から発掘される焼き物の磁気を測定して手がかりを探ったりもします。