40. 火山が噴火する時に磁場は変化する?

活火山の中には、桜島のように年間何十回も爆発的噴火を繰り返している火山もありますが、阿蘇山、三宅島、伊豆大島、有珠山のように数十年ごとに噴火を繰り返す火山や、雲仙普賢岳のように数百年という休止期をもつものもあります。

休止期が終わって活動期に入るというのは、地下の深部からマグマが地表まで移動を始めるということです。この移動に伴って、周囲に小さな地震を発生させたり、火山体全体を変形させたり、高温のマグマから火山ガスを放出したり、マグマの通り道周辺の岩盤を熱したりします。マグマだけでなく、マグマより移動しやすい火山ガスや熱水(熱せられた地下水)などによっても、加熱が起こることがあります。火山体は磁性鉱物を含む溶岩でできていますので、熱せられると岩体の磁気が弱くなり、周辺で磁場が変化します。

火山の地下10キロメートルくらいの深さにはマグマ(高温で溶けた溶岩)があります。マグマが地表まで出てくると、噴火が発生します。

火山の爆発は、マグマの中のガスあるいは火山の地下にある水蒸気の圧力が高まって、一気に吹き出す現象です。たまっていた圧力を一気に解消するので、爆発と同時に圧磁気効果による磁場の変化が発生することがあります。圧磁気効果の観測は、爆発の大きさ(ガスの圧力や体積)を知るために重要ですが、変化量が小さいため難しく、検出した例はあまり多くありません。

噴火によって地表に吹き出す時のマグマの温度は、1000度をこえるほど高温なので、噴出した時、マグマは磁性がありません(32参照)。しかし、地表に噴出すると次第に冷えて磁性鉱物が固まり、温度がキュリー点よりも下がると磁性を獲得しはじめます。このため、冷えつつある溶岩の周りでは非常に大きな磁場の変化を測定することができます。

伊豆大島火山の噴火