17. 放射線帯はどんな形?

放射線帯の構造は、粒子の種類(電子なのか、イオンなのか)やエネルギーによって異なりますが、基本的には地球を取り囲むベルト状になっています。ドーナツ型といってもいいかもしれません。

電子の放射線帯は、赤道上空 3000km あたりに電子が集中するベルトと、約 20000km あたりに電子が集中するベルトからできています。この 2つのベルトのうち、内側のベルトは「内帯」、外側のベルトは「外帯」と呼ばれます。2つのベルトの間、つまり地球の上空約 9000km から約15000km の間には、放射線帯の電子は通常存在していません。この空洞の領域は、「スロット領域」と呼ばれます。なお、2012 年に打ち上げられた米国の Van Allen Probes 衛星は、数メガ電子ボルト以上の電子には内帯がないことを明らかにしました。これまで 50 年以上信じられていた、電子放射線帯の二重のベルトが、実は一重ベルトだったという発見は、驚きを持って迎えられました。なお、数百キロ電子ボルトの電子は二重のベルトを持っていることが Van Allen Probes によっても確認されており、エネルギーによって二重、一重と異なる構造を持つ理由が研究されています。

一方、陽子、イオンの放射線帯は、赤道上空 3000kmくらいに集中する 1つのベルトからできています。

上に述べたような構造は、大きく変化することがあります。特に活発に変わるのは、電子の放射線帯。外帯が消えて再び現れたり、ふだん電子がいないスロット領域で急激に増えたりと、激しく変化しています。