32. 放射線帯の変動は、太陽の11年周期と関係する?

太陽活動が11年で変化することは、ご存じでしょう。たとえば、黒点の数は11年で増えたり減ったりしています。コロナ質量放出(CME)や太陽風のスピードなど、地球の磁気圏にいろいろな影響を及ぼす現象も、11年という時間スケールで見ると変化することが知られています。

それでは、放射線帯にも、太陽の長期的な変化と関係する変動はあるのでしょうか?実は、この11年というサイクルで、放射線帯の構造は変化しているのです。通常、放射線帯の外帯の中心(もっとも電子の数が多いところ)は、地球半径の4 - 5倍に位置しています。それが、太陽活動の極大期には、中心位置は地球方向にシフトし、逆に太陽活動が極小期に向かう下降期では、外側にシフトすることが最近の研究からわかってきました。そのため、静止軌道などが位置する外帯の外の方では、太陽活動の極大期付近には粒子の数が少なく、下降期には増加します。逆に、地球半径の3倍くらいの場所では、太陽活動の極大期付近で粒子の数が増加し、極小期に近付くにつれて減っていくのです。

放射線帯がなぜこのような長期的な変動を起こすのか、詳細なことはまだ明らかになっていません。先にお話しした(27参照)磁気嵐の2つの原因(CME、CIR)の発生頻度が太陽活動とともに変化するために、放射線帯の構造も変わるという可能性が指摘されています。

太陽活動下降期