26. 放射線帯の電子は増えたり減ったりする?

放射線帯の電子は、内帯と外帯の2重構造を持っています(917参照)。外帯の電子のようすは、磁気嵐と呼ばれる磁気圏が大きく変動するときに、非常に激しく変化します。どのような変化なのか、もう少し詳しくお話ししましょう。

磁気嵐は、「主相」と「回復相」という2つの期間から成ります。地上の磁場が数時間から半日ほど減少する期間が「主相」、そのあと数日ほどかけてゆるやかに回復する期間が「回復相」。放射線帯外帯の電子の数は、主相で減少し、回復相で回復あるいは増大します。主相での減少は磁気嵐のたびに起こりますが、そのあと放射線帯の電子の数が回復するのか、増大するのかについては、磁気嵐ごとで異なります。

2003年に発表された研究によると、約50%の磁気嵐において回復相で放射線帯が増大、25%において回復、残り25%においては減少したままということが示されています。 27で説明するように、放射線帯が増加するかどうかは、磁気嵐がどのような太陽風の変動によって引き起こされたかにも、大きく依存しているようです。

それでは、内帯も変化するのでしょうか? 内帯の粒子分布は安定しており、通常はほとんど変化しません。しかし、巨大磁気 嵐のときは例外です。2003 年 10 月に巨大磁気嵐が起きたときには、内帯の領域での電子の数が大きく増加したことが観測され ています(24 参照)。

イオンの放射線帯の変化については、変動の詳しい様子はまだ わかっていませんが、電子の放射線帯のような激しい変化はない ようです。