本冊子を James Van Allen 教授に捧げます

研究室でのバンアレン教授(2004年5月)
Tom Jorgensen/University of Lowa

本冊子の最終校閲段階の8月9日、アメリカの友人から「バンアレン教授が亡くなった」というメールが飛び込んできました。放射線帯の発見者というだけではなく、人工衛星探査による宇宙科学の父を失ったという気持ちです。亡くなる直前まで毎日研究室に出かけ、90 歳でもレフェリー雑誌に論文を投稿するという、まさに巨人でした。

私がこの分野を専攻に選んだのは、中学生のときに実施された「国際地球観測年」の報道から受けた刺激が強く影響していますが、バンアレン教授はその国際地球観測年の組織貴任者の一人だったのです。私と同じ想いで太陽地球系科学に入って来た研究者が多いことも、後に知りました。

私がバンアレン教授に初めてお会いしたのは81年の秋、樹々の黄色い葉が風に舞うアイオワ大学のキャンパス。第一印象は「何と穏やかな方」で、日本からの若手研究者を温かく迎えてくださったのを、昨日のことのように思い出します。

その後90年代には、Journal of Geophysical Rese arch のeditors として一緒に専門誌の編集に携わったりしました。つい先日も、アメリカ地球物理学連合の仕事のためメールをやり取りしたばかりでした。

8月10日付けのニューヨークタイムズは、「宇宙科学のパイオニアというだけではなく、物理学者、天文学者を何世代にもわたって世界中に育て上げた教育者」とも評しています。

2006年8月
名古屋大学太陽地球環境研究所
広報委員長 上出 洋介