41. 宇宙天気研究とは?

磁気嵐を始め、地球磁気圏が変動するとき、放射線帯の粒子は大きく減ったり増えたりします。このようなときには、地球上空の電離圏(高度 60 - 1000 km)の電子密度も大幅に変化し、通信電波の伝わりやすさや、GPS 衛星による位置決定の精度に深刻な影響を与えます。ですから、地球磁気圏、電離圏の変動を正 しく把握することは、人間が安全に活動するために必要なのです。

放射線帯や電離圏の変化、そして磁気嵐のような大規模な変動現象は、太陽面の爆発現象や太陽風の変化と密接に関わっています。つまり、放射線帯や電離圏の変動を把握・予測していくためには、太陽面から惑星間空間、磁気圏、電離圏に至るすべての領域での観測、研究が必要だということ。

このように、特に人間活動と密接に関わる宇宙空間を総合的に研究することは、宇宙天気(Space Weather)研究と呼ばれ、世界各国でさまざまな取り組みが行われています。宇宙の様子を、インターネットを使ってリアルタイムで配信することも、重要な取り組みの 1 つ。太陽風や電離圏の密度の変化に加え、放射線帯のデータなど、リアルタイムで公開されているデータにより、地球周辺の宇宙空間がどんな状態にあるのかを知ることができますし、予測にも用いられています。