23. ブラジル上空には放射線帯粒子がたくさん降ってきている?

地球は巨大な磁石ですが、地球上の場所によって磁場の力は強かったり弱かったりします。ブラジルから南大西洋へかけては、現在地球上でもっとも磁場が弱い場所で、南大西洋磁気異常領域(あるいは、ブラジル異常領域)と呼ばれます。磁場が弱いと、地球にやってきた粒子が磁気圏に戻っていく(バウンス運動)高度がずっと低くなります。つまり、ブラジルの上空では、他の緯度・経度に比べて、たくさんの放射線帯粒子が磁気圏から降り注いでいるということ。高度 300 - 400 km を飛ぶスペースシャトルや人工衛星は、ブラジル上空で機器の誤動作の回数が増えます。このようなトラブルを避けるため、ブラジル上空で装置の一部をオフにする人工衛星さえあります。

南大西洋磁気異常領域は、ゆっくりと西側に移動していますので、それとともに放射線帯粒子が降り注ぐ場所も、西へ向かって動いていることが確かめられています。

高度 800 km で計測した電子(エネルギーが 300 keV 以上)の分布を、地球規模で見た図(カラーページ参照)。