27. 放射線帯の電子はどんなときに増える?

放射線帯の電子は、磁気嵐のときに大きく増えます。最新の研 究により、放射線帯の変動は、どのような太陽風が地球にくるか ということと密接な関係があると明らかになりました。

磁気嵐を起こす太陽の現象としては、コロナ質量放出と呼ばれる太陽面の爆発現象(CME)と、高速太陽風が低速太陽風を圧縮した領域の通過に伴うもの(CIR)が知られています。静止軌道付近を含む放射線帯の外帯の電子は、CME よりも CIR がやってきたときのほうが、圧倒的に数が増えることが最近わかってきたのです。

一方、地球に近いところ(スロット領域のあたり)では、CIR がきても、放射線帯の電子の数はそれほど増えません。むしろ、CMEにともない大きな磁気嵐が起きたときに増えます。たとえば、2003 年 10 月下旬に非常に大きな磁気嵐が発生して、日本でもオーロラが見えて話題になりましたが、このときの磁気嵐はCME によって引き起こされました。そして、地球半径の 2 倍付近のところでは、放射線帯電子の増大が過去 10 年間で最大になったことが観測されたのです。