5. 放射線は宇宙からもやってくる?

自然界の放射線のうち、宇宙からやってくるのが「宇宙放射線」です。この冊子では、遠い銀河系からくる「宇宙線」、太陽からくる「太陽放射線」、そして地球の磁気圏(地球の磁場の勢力圏) にある「放射線帯の粒子」を総称して「宇宙放射線」と呼びます。

地球の磁気圏の外からやってくる宇宙線、太陽放射線は、地球の磁場の影響を受けるため、地球の大気に入りやすい場所と入りにくい場所があります。一般に、磁極のある北極、南極地方では入りやすく、低緯度では入りにくいようです。

宇宙線はエネルギーがたいへん高いので(46 参照)、地球の高層大気から地上に向かってくることができます。しかし、途中で地球の大気と衝突して、そのエネルギーをどんどん失います(正確には、2 次宇宙線を作り出します)。ですから、地上で生活しているかぎり、健康に大きな影響はありません。一方、たとえば飛行機のパイロットや客室乗務員のように、極地方の上空を通る機会の多い職業の人たちは、地上での生活に比べて、宇宙からの放射線の影響を受けやすいことになります。