10. 太陽からの風はどこまで吹いているの?

宇宙の果ては遠すぎて、どうしても見えませんが、太陽系の果てについては、実際に探査機がその場に行って調べているところです。地球から一番遠く離れた人工物が、1977年9月5日に打ち上げられた「ボイジャー1号」という探査機です。30年以上経った今でも現役で太陽系の果てを旅しながらプラズマや磁場を測定し、宇宙環境を私たちに伝えてくれているのです。

太陽風を食い止める障害物が見当たらない限り、太陽風は、どこまでも遠くまで吹いていくはずです。しかし、やがて太陽風の障害物となる星間空間の水素ガスの領域にぶつかります。これが太陽系の果てなのです。この太陽系の果ての姿は、「ボイジャー1号」が2005年に初めて捉えました。冥王星よりもはるか遠い場所で、太陽系の外に吹いている星間風を感じて、衝撃波を作っていたのです(終端衝撃波と呼ばれています)。その距離は太陽と地球の間の距離の約100倍。太陽風は太陽から地球に来るまでに平均で4日かかりますから、太陽から出たあと、太陽風は約1年間で、この太陽系の果てにたどり着くことになります。この星間風の領域までが太陽圏と呼ばれています。

2010年6月には、「ボイジャー1号」で観測された太陽風の速度が、とうとうゼロになりました。これは、太陽風の範囲を脱出し、いよいよ星間風に近づいていることを意味しています。そして2012年8月、NASAがボイジャー1号が太陽圏を脱出したと公式に発表しました。

冥王星は、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星に続く最後の惑星として教科書にも載っていたことがあります。他の惑星と比べて公転軌道が大きく傾いていることや、サイズが小さいことなどから謎めいており、冥王の名にふさわしい星でした。冥王星と似たような星がたくさんあることがはっきりしたため、2006 年に惑星ではない別の分類とすることが決定され、冥王星型天体と呼ばれています。「ニューホライズン」という探査機は、冥王星型天体の謎を調べるため「、ボイジャー」を追い越す勢いで、太陽圏を猛スピードで駆け抜けています。