6. 地球にはなぜ磁気バリアがあるの?

地球は地磁気と呼ばれる磁気をもっているので、地球のまわりの宇宙空間には目に見えない磁気バリアができています。太陽風プラズマや電気を帯びた粒子は地磁気の影響を感じると動きが大きく変化するため、磁気バリアの中に入りにくくなっているのです。地球の磁気バリアは、どんなに激しい太陽風が吹き付けても、絶対に直接地球に到達することができないほど強力なものです。この磁気バリアに守られた領域は「地球磁気圏」と呼ばれています。太陽風は、地上から3万km(静止軌道と呼ばれる高度付近)から10万kmくらいの位置で食い止められていて、その反対側の磁気圏は太陽風に吹き流されたような形をしていることがわかっています。ちなみに地球と月の間の距離は37万kmなので、月が地球よりも太陽側にあるときには磁気バリアの外にでていることになります。

磁気圏という空間ができる仕組みは、1930年代、チャップマンとその弟子フェラーロによって解明されました。太陽風と磁気バリアのせめぎ合いは天然の巨大発電所になっていて、地上の全発電所の総力に匹敵する膨大な電力を生み出しています。これがオーロラを光らせている電力の源です。ちなみに、磁気圏ができているのは地球だけではありません。水星、木星、土星、天王星、海王星にも磁気圏があります。また、木星、土星、天王星、海王星には大気もあるため、オーロラが光っていることがわかっています。

地球の磁気バリアは、宇宙線と呼ばれるエネルギーの高い粒子が地球に直撃することも大幅に防いでくれます。私たちの住んでいる地上の環境は、磁気バリアと大気のバリアという二重のバリアによって宇宙線から守られているのです。もし地球の磁気バリアがなかった場合、大気のない場所を飛んでいる人工衛星や、スペースシャトルの被ばく量は桁違いに大きくなるため、人類の宇宙利用はとても難しくなっていたでしょう。