44. 宇宙のエネルギーを利用するには?

オーロラを光らせているエネルギーはとても巨大ですので、そのエネルギーをうまく利用できれば、世界のエネルギー問題も解決しそうに思えてきます。でもオーロラを光らせているエネルギーの多くの部分は、電離圏で熱になってしまい宇宙空間に放射されてしまうため、そのまま集めて利用するというのは、今の技術ではとても難しいことです。

一方、太陽光をエネルギーに変えて活用することは行われています。最近では、一般家庭の屋根に太陽電池パネルが貼り付けられているのも見かけますね。宇宙では国際宇宙ステーションをはじめ、多くの人工衛星で太陽電池パネルが使われています。太陽光エネルギー発電をもっと大規模に宇宙空間で行って、地上に伝送しようという研究も進められています。宇宙では曇りや雨の日がないので24時間いつでも太陽光を活用することができるのです。太陽からのエネルギーは無尽蔵にありますので、太陽光エネルギー発電が実用化すれば、エネルギー問題も解決するかもしれません。

また、太陽からの光や太陽風を利用して、宇宙船の推力を生み出すソーラーセイルやソーラー電力セイルの研究も行われています。小惑星探査機「はやぶさ」で実証されたイオンエンジンは非常に燃費がよいですが、ソーラーセイルを使えば、さらに少ない燃料で宇宙を移動することができます。金星探査機「あかつき」といっしょに打ち上げられた「イカロス」によってソーラーセイルの実証実験が行われました。将来は、木星などの遠い惑星に行くような長距離の宇宙飛行での活躍が期待されています。