40. 宇宙天気にも嵐の前の静けさがあるのはなぜ?

「嵐の前の静けさ」とは、大きな出来事がおきる前に感じられる、不気味なくらい静かなようすをあらわす言葉です。不思議なことに、磁気嵐の前にも、地磁気活動が静穏になりやすいことが知られています。

この原因は、地磁気の極と地球の自転軸の傾きの違いと、太陽風の水平磁場極性の反転に原因があります。これまでの研究で太陽風の水平磁場を地磁気の南北方向に投影した磁場が、地磁気活動の強さと比例するということがわかっています。

特にコロナホールと関連した磁気嵐のときには、太陽風の水平磁場極性が反転することが多いので、磁気嵐がおきる前の磁場極性は、逆に磁気嵐がおきにくい静かな状態、つまり「嵐の前の静けさ」を作り出すのです。また、「嵐の前の静けさ」の後におきる磁気嵐では、放射線帯も大きく増加します。このように、「嵐の前の静けさ」は、宇宙天気にとっても、ちょっと不気味な要注意の期間なのです。