22. 宇宙飛行士はなぜ被ばくしやすいの?
ジオスペースは目に見えない放射線であふれていますが、人体への被ばくの影響は大丈夫なのでしょうか?高いエネルギーの宇宙線は、宇宙船も宇宙服も通り越して人体にまで達するため、宇宙飛行士を被ばくさせてしまいます。実際に、スペースシャトルの宇宙飛行士は、宇宙放射線の量が大きくなり危険な状態が予想される場合には、船外活動を中止したり、放射線から守られる特別の部屋で待機します。
被ばく量は、放射線量と滞在時間のかけ算になります。たとえば、宇宙に滞在している時間が5分間だけという宇宙旅行の弾道飛行プランでは、短い時間しか放射線の影響を受けないので比較的安全です。ただし、運悪く大きな太陽フレアがおこって放射線が1万倍の強さになると、1ヶ月分滞在したのと同じ被ばく量になってしまいます。
地球の大気と磁場は、宇宙放射線が地上に直接来ないように防いでいます。このため、宇宙放射線の量も、地上から上空に向かうほど大きくなります。ジェット機の乗務員で原子力発電所の作業者とだいたい同じくらいの被ばく量、スペースシャトルに1週間いると地上生活の2年分に相当する被ばく量といわれています。地磁気のバリアを超えて月や火星に行くときには、さらに大量の宇宙放射線を浴びることになります。