7. 国際宇宙ステーションは、どこを飛んでいるの?

国際宇宙ステーションは、どこを飛んでいるのでしょうか?実は、宇宙と言っても地球に一番近い宇宙を飛んでいます。その高さは、地上から約300km-400km。ここは、宇宙と地球の大気の接点になっています。宇宙服なしでは活動できないほど空気は薄くなっていますが、プラスとマイナスの電気を帯びたプラズマの大気が存在する場所でもあります。このように電離した大気の領域は「電離圏」と呼ばれ、高度70kmくらいから上空に存在しています。オーロラが光っているのも、この電離圏です。国際宇宙ステーションのように、人類がいつも滞在することのできる宇宙は、いまのところ電離圏だけなのです。

実は、電離圏は、私たちの日常生活にも密接に関係しています。たとえば、短波通信は、電波が電離圏で反射することによって地球の反対側まで通信することができます。また、カーナビは、GPSという人工衛星からの電波を受信することによって現在位置を教えてくれます。GPSからの電波は電離圏を通過してくるため、電離圏のプラズマの量が急激に変化したときには、GPSからの電波が届きにくくなることもあります。さらに、電離圏の存在する高度数百kmの場所では、気象衛星、測地衛星など多くの人工衛星が毎日観測を行っています。そのため、電離圏の状態を詳しく把握し、いつどのように変化するかを予測することは、地上の通信やカーナビ、そして人工衛星を安全に運用していくために重要なのです。