34. 地上からはどんな観測をしているの?

天気予報のアメダスに対応するのが磁力計の地上ネットワーク観測です。磁場観測によって、雲よりずっとずっと上の電離圏や磁気圏に流れる電流の活動をはかっています。ここでは、電流が流れれば磁場が発生するという原理を逆に利用しています。こういった磁場の観測は、100年以上も前から行われている宇宙天気の観測の中では歴史の古い分野で、日本の研究機関も活躍してきました。中でも京都大学で算出されている地磁気のDst指数やAE指数は、世界中の研究者にとってなくてはならない基礎的な情報です。また、気象庁の柿岡地磁気観測所は、高精度の磁場絶対値の観測を長年にわたって続けています。さらに、九州大学や国立極地研究所、情報通信研究機構、名古屋大学などによって、南極大陸も含めて世界各地の磁場を継続して観測するための磁力計観測網が設置されています。

北海道陸別町に設置されている名古屋大学宇宙地球環境研究所の北海道陸別短波レーダー。SuperDARN(Super Dual Auroral Radar Network)と呼ばれる世界中に展開されているレーダーネットワークの一つです。

一方、天気予報では降水レーダーが使われていますが、宇宙天気予報でも、特別な電波望遠鏡やレーダーを利用することで、太陽風や電離圏のプラズマの風速をはかることができます。日本では、北海道の陸別町に、名古屋大学の宇宙地球環境研究所が、短波レーダーを設置して、観測を続けています。地上から宇宙の風速がはかれるなんて不思議ですね。