12. 磁気嵐がおきるのはなぜ?

宇宙嵐の中でも、一番古くから知られているのが磁気嵐です。半日くらいの間、世界中の低緯度の地表磁場が数%弱まる現象で、19世紀初頭のドイツの物理学者フンボルトの時代から、その存在が知られていました(第2問参照)。

非常に強い磁気を帯びた太陽風に、地球の磁気バリアが何時間もさらされると磁気嵐が発生します。その太陽風の磁場の向きは、地球の磁気バリアと逆向きの南向きであることが必要条件です。磁気嵐をおこしている正体は、地球半径の数倍くらいの宇宙空間を西向きに流れる環電流です。西向きの環電流が作りだす磁場は南向きです。このため地表の北向きの磁場が弱められるのです。磁気嵐のときには、地球の近くで高いエネルギーの荷電粒子が増えるため、いつもよりも強い環電流が流れることがわかっています。

ほとんどの宇宙天気障害は、磁気嵐のときに多く発生しています。このため、どれくらい強い磁気嵐が、いつ発生するかを予測する宇宙天気予報が必要なのです。また、特に大きな磁気嵐のときには、北海道などでオーロラが見られることもあります。

磁気嵐の正確な測定は、1958年の「国際地球観測年」に世界中で協力して始まりました。地磁気嵐の大きさの世界標準の指標として使われているDst指数は、当時アメリカで活躍していた杉浦博士によって考案されました。