8. 宇宙に放射線がたまっている?

今から約60年前、アメリカ・アイオワ大の宇宙物理学者ヴァン・アレンは、アメリカ初の人工衛星エ「エクスプローラー」に放射線の強度を測る機器を搭載し、宇宙には強い放射線が満ちているということを偶然発見しました。だれも予想していなかった大きな謎が見つかったのです。

その後の研究で、この放射線の正体は、地球の磁場に閉じこめられたエネルギーの高い電子とイオンであることがわかりました。地球の磁気バリアは、太陽風を食い止めてくれるのと同時に、地球のまわりに放射線を閉じ込めてしまうという効果もあったのです。地球のまわりをぐるっと帯状に取り巻いているため「放射線帯」(英語で、radiation belts)と呼ばれています。また、発見者の名をとって、ヴァン・アレン帯とも呼ばれることがあります。

放射線帯は、電離圏の上空数百kmから数万kmに広がっています。GPS衛星や静止軌道の「ひまわり」衛星をはじめ、現在たくさんの人工衛星が放射線帯の中を周回しています。放射線帯粒子は、人工衛星の誤作動を引きおこしたり、宇宙飛行士の被ばく量を増やす危険な存在です。このことから、放射線帯の電子は「キラーエレクトロン(英語でkiller electrons)」と呼ばれることもあります。宇宙を安全に利用するために、放射線帯の粒子がいつどれくらい増えるのかを予報する宇宙天気予報が必要とされています。