20. 地上に強い電流が流れることがあるのはなぜ?

地球は大きな導電体ですので、オーロラの電流によって地上の磁場が激しく時間変化すると、電磁誘導の法則によって地上には起電力が発生して誘導電流が流れると考えられます。

美しく輝くオーロラに、私たちはただただあこがれてしまいますが、決していいことばかりとは限りません。オーロラの電力はすさまじいもので、世界中の原子力発電所に匹敵する電力パワーを持っています。このためオーロラ活動が見られる地域では地磁気が激しく変化し、地上の送電線やパイプラインに強力な誘導電流が流れることで、制御システムの障害が引きおこされたり、金属パイプの腐食が促進されることがあります。このような現象は、地磁気誘導電流、英語でGIC(Geomagnetically Induced Current)と呼ばれています。高速のCMEが作り出す太陽風の衝撃波が、地球磁気圏を急激に圧縮する「急始」現象、英語でSC(Sudden Commencement)、によっても、世界中で同時に大きなGICが引きおこされることもよく知られています。実際、強力なSCが発生したり、大きな磁気嵐が発生したときには、日本でもGICが観測されます。北海道の女満別にある地磁気観測所の観測によると、日本では最大で10A程度の誘導電流が観測されます。