13. 温暖化すると積雪量が多くなる?

地球温暖化は気温の上昇だけでなく、降水量にも影響を及ぼすことが知られています。極域でも温暖化によって降雪量が変化しているのでしょうか?極域では、低気圧などによって運ばれてくる湿った空気が寒冷な空気とぶつかって雪がふります。そして、温暖化した場合には、気温の上昇とともに空気中に含まれる水蒸気量が増加するため、極域に輸送される水蒸気量が増加し積雪量が増えると予想されています。北極域では降雪量の変化が明瞭ではありませんが、南極大陸では、21世紀に入ってから年間降雪量が増加傾向を示すなど、温暖化の兆候と疑われる事例が報告されはじめています。

他にも、温暖化が進むと大雪が発生するなど、雪の降り方が変化すると考えられます。昭和基地のある東南極では、1日の降雪量が10mmを超える大雪イベントの発生頻度が高まっており、さらに60年に一度という記録的な積雪も観測されています。しかし、極域では気象観測データの年数が短いために、温暖化の影響によって大雪が発生しやすくなってきているとは言えません。今後、長期にわたる観測データをとることが重要であり、さらに雪氷コアの解析から過去の年間積雪量の変化を復元することも重要です。