オゾンホール

27. オゾンホールってなに?

地球の大気の中には酸素原子3つからできているオゾンと呼ばれる分子があります。オゾンは空気の分子100万個に対して数個しかない微量成分ですが、太陽からの有害な波長の紫外線を吸収して地上の生き物を守っています。このオゾンが極域の春先にほとんどなくなってしまうのがオゾンホール(オゾンの穴)です。穴といっても実際の大気中に穴が空いているわけではありませんが、地図上にオゾンの量を濃淡で表していくと丸い穴がぽっかり空いているように見えます。南極では1980年代から毎年オゾンホールが観測されていますが、北極では南極ほど顕著ではなく、この違いは両極域のまわりの地形の違いが影響しています。

オゾンホールでオゾンを減らす原因はフロンという物質から出てくる塩素という元素です。極域の冬は極夜と呼ばれ、太陽が登ってこない夜が何十日も続きます。その間に極域上空の空気はどんどん冷えていきます。また極夜の時期は極渦と呼ばれる西風のジェットが極域のまわりに吹いて、これが極域の内側と外側の空気の出入りを邪魔します。外部から暖かい空気が入ってこないため、極域上空はどんどん温度が下がり、オゾンがある高度20キロメートルあたりに氷の雲ができます。春になって太陽からの紫外線が降り注ぐようになると、氷の粒の表面で紫外線の働きにより塩素を含んだ大気中の物質から塩素が放出され、これが一気にオゾン分子を壊して減らしてしまうのが、オゾンホールです。

オゾンホールは、日本の南極観測隊の気象隊員が世界で初めて発見した現象です。