47. インターネットは繋がるの?

パソコンやスマホを通して今は大人から子供まで毎日の生活の中でインターネットは欠かせないものです。南極観測初期の頃は短波の無線通信でモールス信号やテレックスを使って日本とのやりとりをしていましたが、地磁気が大きく変動してオーロラが現れるようなときには通信が不安定になることがありました。1981年にはインマルサットという衛星回線を使うことで、電話やファックスが24時間使えるようになり、安定した通信ができるようにはなりましたが、今から考えるとまだ不便な状況でした。そして2004年にやっとインテルサットという通信衛星の信号を受信するパラボラアンテナが設置され、常時インターネットが昭和基地でも繋がるようになり、日本との通信環境が劇的に改善されました。

日本とビデオ会議で結ぶことができるようになり、日本の小中学校と繋いで日本からの質問に昭和基地からリアルタイムで回答をしたり、日本の専門の医師と相談し画像や動画をやり取りしながら病人やけが人の対応を行う遠隔医療が実現できるようになりました。観測データも、データ量の制限はありますが、それまで観測船「しらせ」で持ち帰るまで解析できなかったデータをインターネットで日本まで送ることにより、素早く解析ができるようになりました。ブログを作って昭和基地から情報発信をしている隊員もでてきました。

光ファイバが普及している日本国内に比べると衛星回線は通信速度が遅いため、観測データの転送や基地の運用に関する緊急連絡等が優先され、日本の家族との個人的なテレビ電話などは使用が制限されています。しかし、メールはほぼ制限なく使えるため日常生活でほとんど不便は感じません。

往復の「しらせ」の船上ではインターネットは繋がりますが、設備が小さいインマルサットを使用し、通信速度が昭和基地よりもずっと遅いため、メールだけが使用可能となっています。メール通信量は1隊員あたり月に3Mバイトまでに制限されており、高解像度の画像や動画を受信してしまうと、月明けまでメールが読めなくなってしまいます。

日本国内に比べれば、いくらか制限はありますが、昭和の時代に比べれば格段の進歩です。