温暖化に関連するいろいろな要因

18.大気循環と温暖化の関係は?

地球は太陽からの光(すなわち、放射)によって暖められ、赤外線を宇宙空間に放出することによって冷えて、その両方が地球全体としてうまくバランスがとれています。しかし、部分的にみると、赤道付近では入ってくるエネルギーの方が出て行く量よりも大きく、反対に南極や北極などの緯度が高いところでは、出て行く量が大きくなっています。うまく熱のバランスをとるためには、赤道付近で過剰になった熱を高緯度帯に運ぶ必要があります。

赤道で暖まった空気が上昇し、高緯度帯に流れ、高緯度帯で冷えて下降し赤道に向って流れる空気の流れ(対流といいます)が起きれば、熱の輸送ができます。このような地球規模の大気の循環は、18 世紀にハドレーという人が考え出しました。実際には、ハドレーが考えたように赤道で上昇した流れは極域までは達せずに、緯度 30 度あたりで下降することがわかっています。ですが、ハドレーに敬意を表して、こうした大規模な大気の動きのことを、ハドレー循環と呼んでいます。

緯度 30 度より上では、緯度 50 ないし 60 度ぐらいから上昇し、赤道方向に流れてくるハドレー循環と逆方向のフェレル循環、さらに緯度 60 度より上の極域では再びハドレー循環と同じ向きの南北循環があり、ハドレーが考えていたよりも実際の流れは複雑になっています。いずれにせよ、このような太陽の放射によって作られた大気の循環は、地球規模の気候変動に大きく影響していることは事実です。