9.昔の気温はどうやって調べる?―その3

南極や北極では毎年雪が降り積もります。そのため、極地の氷床に穴を掘って深いところに行くと、昔に降った雪の状態が保存されていることになります。そこで、昔の氷の層に含まれている酸素の同位体比を測定すれば、昔の温度を推定することができるはずです。ボーリングで深い穴を掘り、円筒状の氷の柱を切り出し、円筒の上から下に順番に酸素の同位体比を調べることにより、時間を過去に順にさかのぼって気温を推定することができるというわけです。

日本のチームも、南極の標高 3800 m もある氷床の頂上近くにある「ドームふじ」というところで、氷の切り出しを行っています。これまでに 2500 m までの掘削に成功し、34 万年前までをカバーしています。岩盤までたどり着くと、100 万年ぐらい前までの気温の変動が予測できると期待されています。

北極にも同じような氷床はありますが、最も古いところでも30 万年ぐらい前と考えられています。