8.昔の気温はどうやって調べる?―その2

地球上の物質を作っている元素は原子核と電子からできており、さらに原子核は陽子と中性子からできています。電子はマイナスの電気、陽子はプラスの電気を持っており、中性子は電気を持っていません。通常の元素は電気的に中性(=プラスマイナスゼロ)なので、電子の数と陽子の数は同じで、この陽子の数によって元素が区別されます。ところが、同じ元素(たとえば酸素)でも、中性子の数が異なるものが何種類も存在します。このような原子を「同位体」といいます。たとえば、酸素の原子核内の陽子の数は 8 ですが、中性子の数が 8 個の16O、中性子の数が 9 個の17O、中性子の数が 10 個の18O が存在します。

水は酸素と水素からできています。そして、同じ水でも、16Oを含んだ水は中性子 2 個分「軽い」水で、18O を含んだ水は「重い」水です。水蒸気が凝結して液体の水になる温度は、軽い水の方が低く、温暖な気候では、「重い」水の方が凝結して雨粒や雪になりやすい性質があります。反対に気候が寒冷のときの雨は「軽く」なります。そこで、昔に降った雨や雪の重さ(= 18O の多さ) を調べれば、そのときの気温を推定することができます。