49.発展途上国は温暖化とは関係がない?

いいえ、大いに関係があります。発展途上国は、温暖化に対してとても深刻な問題を抱えています。この問題には、大きくわけて 2 つの側面があります。

ひとつは、発展途上国は先進国に追いつけと急激に工業化を進めている段階で、人々が都市に集中しようとする傾向があります。この急激な工業化に、廃棄物処理や公害対策などの環境対策が追いつかず、先進国がかつて経験したときよりも深刻な環境問題に直面しています。また、経済的な理由からも、その対策が遅れがちになっているということが問題に拍車をかけます。さらに、急激な工業化は、二酸化炭素を減らす森林を伐採し、自然の浄化システムにも影響を与えます。

もうひとつの問題は、一部の先進国と発展途上国の対立です。上に述べたような発展途上国の不十分な環境政策に対し、先進国は経済的・技術的な手助けをし、地球全体の環境をみんなで守ろうとするのが、本来取るべき姿でしょう。しかし、先進国の中には、今後二酸化炭素排出量が増えると予想される発展途上国に対して、規制義務を設定しようと提案する国があったり、反対に、発展途上国は、過去の排出量を挙げて先進国に責任を押し付けようとしたりと、なかなか折り合いがつかないというのが現状です。